Columbus Blog

新発見日記。ただし発見の意味は広義・・・感想・愚痴もときどき・・・

Pの密室 乱丁

2011.06.07 Tuesday 16:13
昨晩というか本日早朝、島田荘司の「Pの密室」を読了(したことになるのか?)。

最近はあまり読んでいなかった島田荘司だが、
 Pの密室は、名探偵「御手洗潔」の幼稚園児の頃の物語ということで
マーケットプレイスで久々にオーダーしたわけである。
中味は、「鈴蘭事件」と「Pの密室」の2作で構成されている。
御手洗潔は幼少時から「天才」だったことが如実に記されていて、
内容的にはまあまあだった。ところが・・・。
Pの密室

わたしはミステリーを読み出すと、
「翌日まで結末を待てない」という悪い性格があるため、
老眼が悪化した極めて不健康な状態で
またしても一気に明け方まで読み終えようとしてしまった。
そして、かすんだ目をこすりながら
もう少しで読了という最後のページに移ろうとしたとき・・・。
Pの密室

えっ、乱丁?
肝心なところで、しかも、もう寝ようという寸前なのに!
しかし、珍しいねえ。ずいぶん久々にみた乱丁だ。

でも、マーケットプレイス出品作とはどういうこと。
前に読んだひとはこれに気がつかなかったわけ?
そんなことないよね。
ミステリーファンなら、こんな結末を見ないで売るなんてことはありえない。
知ってて売った?うーん・・・。
でも、大したファンでもないひとが「積んどく」してあったものを
出品したのかも知れないし、まあいろいろ理由もあるのだろう。

 しかし、結末がすっきりしないわたしは困るなあ。
仕方ないから「壊れたページ」を拡げてみたりして
なんとか筋書きを追ったのだが、
まあトリックの大半はそれ以前に記されていたことなので、
要は物語としてどのように終わったのかその部分だけが不明といえば不明だった。

そこで、こうした乱丁の場合、綴じの関係でもう1ヵ所、
乱丁となっているところがあるにちがいないと探してみたら、
やはり、後半、岩波明という精神科医の解説のなかに当該ページが見つかった。
Pの密室

なんとなくすっきりはしないが、まあだいたいのところは拾い読みだが解読できた。
しっかり読もうとするなら、当該部分を切り取って、
ジグゾーパズルのようにはり合わせてみれば分かるだろう。
「乱丁・落丁はお取替えします」なのかも知れないが、
マーケットプレイスだし、いろいろ手続きも面倒だからやる気はない。
むしろ、乱丁の本を持っている、というのもいまどき面白いかもしれない。
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エクソシスト

2009.10.21 Wednesday 03:02
ネットから郵送、わずか100円で旧作が観られるというので、
DVDレンタルというのをためしに頼んでみた。
近くのビデオ店より品数が圧倒的に多いようなのも気に入った。

レンタルするとすれば、やはりホラーかミステリSFになるなあ。
ということで、ホラーではNo.1に評価されているエクソシストなどを
借りてみた。

エクソシストは1973年の作で、当時劇場で観たことがあるのだが、
とくに怖いという印象はなかったので、わたしの評価は低かった。
ネットでは多くのひとが「いちばん怖い」というので再確認してみたのだが・・・。

やはり、怖くなかった。
当時はあんなタイプの映画が少なかったので評価が高かったのか。
いまはもっと過激なのもあるし・・・。
また、なぜあの少女に悪魔が取り付いたのかの理由がよくわからなかった。
それはホラー鑑賞ということではどうでもいいことなのだが。

同じ古典でも、わたしはやはり「シャイニング」がNo.1である。
でも、現実に戻ってもトイレや背後が怖いと思う「後遺症」のある映画は、
リングかなあ。
あの貞子はホントに怖いね。

とすれば、日本のホラーがいちばん怖いのかなあ、ということで、
まだ観ていない日本のホラーで2番目に怖いという「着信アリ」も借りてみた。
これはまだ観ていないが、はてしてどうだろうか。
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皆既日食殺人事件

2009.07.11 Saturday 23:33
皆既日食。南海の孤島で名前が悪石島。しかも、盛夏の7月22日。
こうもお膳立てが整うと、格好の殺人事件の舞台ではなかろうか。
この何十年ぶりかの舞台の存在を知ったのは、今年に入ってまもなくのころ。
もっと早く知っていれば、もしかすると「皆既日食殺人事件」という
ミステリーが書けたかも知れない。

昨年から話題となっていたらしく、旅行社かなにかのツアーが組まれ、
すでに定員はとっくに締め切られてしまっているらしい。
鹿児島県トカラ列島・十島(としま)村の悪石(あくせき)島は、
7月22日の観測時間が6分25秒と、人が住んでいる島では最も長い。
通常は70人程度しか住んでいない島らしいが、
ここに人口の3倍を超える約240人が訪れる予定だという。

何十年ぶりと書いたが正確に言うと46年振り。
1963年7月21日に北海道東部で見られた皆既日食以来のことである。
そういえば、そのころセルロイドの下敷きを空にかざして
見ていたような記憶がある。
皆既日食まではいかなくとも部分日食は見られたと思う。

繰り返すがもっと何年も前から知っていれば、
さきにいちどこの島を訪問取材し、地理的条件等を調べておくこともできた。
そうすれば、「殺人事件」の斬新なトリックも思いついたかも知れない。

やはり皆既日食の瞬間が犯行時間となるのだろう。
みんなが空を見上げている、その無防備な瞬間。
双眼鏡に毒を仕込むか。喉元に矢を打ち込むか・・・。
初めから殺人現場と時刻がわかっているから、
犯行計画もたてやすいのではないだろうか。

まさに格好の孤島もの。
ミステリー好きの大学のサークル仲間が夏休みに集まるという設定など。
小説の世界が現実の舞台になって、ほんとうに何かが起こりそうな・・・。
ただ難点は連続殺人には不向きかも。6分25秒の間に何人もというのも
犯人がわかりやすくなってしまうかも知れない。

先日来からこんなことを思っていたら、
ミステリー好きのサイトの仲間がオフ会に参加しませんか、なんて。
今度の7月25日、26日なんだけど、まさか殺人事件は起きないよね?
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厭魅(まじもの)

2006.06.23 Friday 13:58
三津田信三のホラー・ミステリー「厭魅の如き憑くもの」を読んでいる。
途中だが前半まではなかなかに恐い小説である。とくに巫女の少女が祓い所に赴くときに、後を振り返ると魔物が取り付くので振り返ることを禁じられるが、背後の何かがいいよいよその不気味さを強くしていく叙述のくだりは圧巻である。
「背後」が恐いホラーはほんとうに怖い。
三津田信三のホラーは、都会ではなく古い神社や山村などをその舞台としている。
わたしもそうした背景になぜか惹かれる。
神社や史跡などで有名な怪異な話は平将門の首塚等があるが、むしろそんな人口に膾炙したものより、地方の山村にある名もない道祖神などの不気味な雰囲気にたまらなく惹かれる。

厭魅の如き憑くもの

 ☆厭魅の如き憑くもの
 ミステリー・リーグ
 三津田 信三 (著)
 価格: ¥1,995 (税込)



惹かれるとは、まさに「引」かれる、のだ。
その辺の気持を三津田は心得ているのか、そのことを「山の厭魅に呼ばれる」という表現をしている。
そう、まさに呼び寄せられる、引っ張られるような感じで、怪しげな林の中や妖草に囲まれた隘路に入っていってしまうのだ。

わたしがなぜ姉妹サイトで地域紹介などのコンテンツをつくったのかなんとなく分かるような気がする。
それをつくるきっかけとなったのは、いま考えてみると、取手市で偶然見かけた面足神社のなんとも得体の知れない不気味な雰囲気だったかも知れない。
そして、利根町にもそれを求め、早尾天神社奥の宮龍ヶ崎南高校近隣にある不思議な塚の中に吸い込まれるように入っていった。
学校や公民館、イベント等、賑やかな人の集まる類の地域紹介にはいまひとつ食指が動かないのはそういう理由であろう。また神社・仏閣を訪問するといっても人で賑わう明治神宮や浅草寺にあまり魅力を感じないのもそういうことである。

そういえばいま住んでいる地元の利根町は柳田國男の第二の故郷という。
遠野物語にあるように彼もそうした伝奇的なものに惹かれた作家といえよう。
わたしのメインテーマの狸囃子にしても、泉鏡花が同名の題の小話を記しており、高野聖などの著作のように彼もまたそういう傾向の作家である。
それらの作品の中は奇怪な話で満ち溢れている。
たとえば三津田の小説のなかでも、冒険にでかけた男の子が神隠しにあったように消えてしまうくだりがある。
しかし、そういったことは、現実生活において身近に体験することはまずない。
三津田自身もおそらくそういうところを訪ねて行くことが好きな作家だろうが、そんな地域を取材してまわってはいても、ある日、彼自身が魔物に引き寄せられて神隠しに遭うようなことなどはないだろう。
もしそうだったら、現実に本が出版できていないわけだし・・・。
また鏡花や柳田國男にしても、ある日、山里を訪問中に忽然と消えた、という晩年だったとは聞いていない。
不気味な雰囲気も所詮、イメージに過ぎなく、魔物などは無論いるはずもなく、作家が作り上げた架空の世界ということになるのだろうか。

「それは彼らは有名人だから」

そう、もしかすると、著名な作家などは消失してしまうと大事件・ニュースになってしまうので、そこまでの災難には遭わないようになっているのではないだろうか、などと考えてみる。
でも、無名の一般人、陰の薄い人などが、そんな探索を始めるとしたら・・・。
人知れず魔物は人を襲う・・・。

わたしならある日、鎌倉街道で見つけた秘密の祠に入りこんでそのまま消失してしまうかも。本当に魔物がいたりするのかも知れない。
いままでにも胸の鼓動が高まるときがいくどかあった。昔から臆病なくせに、なぜわたしはそこに突き進んでしまうのだろうと思うことがある。

そんな異次元の奥を今後もさらに求めるか。
それとも有名にでもなって遭遇を回避するか。

ちなみに取手の面足神社はどんどん開発整備されて最近も写真のような「観光的」登り階段や見晴台のベンチなどが設えられた。
こうなってしまっては、もう昔の「わたしを呼び込む」厭魅は、そこにはいない。

取手面足神社の新築された階段
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4・29のミステリー

2006.04.29 Saturday 23:01
亡びてしまつたのは
僕の心であつたろうか
亡びてしまつたのは
僕のゆめであつたろうか

記憶といふものが
もうまるでない
往来を歩きながら
めまひがするよう

そんな詩を玄児が口ずさむのを聞いたのは、病院を出た翌々日・・・4月29日という勘定になるだろうか。


これは、綾辻行人の「暗黒館の殺人」のある一文の引用である。
講談社刊で上下巻それぞれ約650ページほどあって分厚い。その上巻冒頭から少し読み始めた箇所(120ページ)で、まだ事件らしい話には至っていない。
つい2.3日前に、書店で見てまだ読んではいなかったと思って買って読み始めたばかりである。

昨夜、友人たちと飲んで遅く帰宅した後、少しソファで転寝したのがいけなかったのか深夜2時ごろに目覚めて、そのまま寝室に入ったがどうも眠れない。
きょうから9連休。
たっぷり時間があり、こんな夜は、本来なら起きて階下のリビングでパソコンでもやるのだが、そこでチョコが寝ているのだ。
起こさないで休ませてやろうと思って2階の布団に入ったままぐずぐずしていた。

でも、どうも寝付けないので「暗黒館の殺人」を読み始める。
明け方6時になって、冒頭に記した文章のところまで差し掛かった。
そう言えば、きょうは同じ4月29日。
偶然にしてもおもしろい符合だな。
よし、今夜というか今朝はここまでにしておこうか。

最近読んだミステリーは叙述トリックだのメタだのアンチだのといったものが多く、どうも推理がうまく働かなくて消化不良を起こしている。
久々にまっとうな本格推理モノのような気がするし、好きな長編なので、今度こそ、完璧に「犯人」を当て、トリックを見抜いてやろうと思う。分厚いのが2冊もあるから連休中の就寝前はこれで楽しめるだろう。

でも、綾辻の「館」モノは「秘密の抜け道」という邪道があるんだっけ?
解けなかったとしたら、それだな。
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Mの悲劇

2005.01.17 Monday 23:12
昨日、表題のドラマをTBSかどこかの局で放映していた。
妻が一生懸命、見ているので少し気になってのぞいてみたが
サイコサスペンス風でなかなか面白そうな感じだ。

で、そのとき初めて題名はと聞くと「Mの悲劇」というので、
うーん、エラリー・クイーンの何かを日本風に仕立てたのかな
などといい加減な記憶をもとにいい加減に想像していたが、
エラリー・クイーンはXYZだから、どうもちがう。
(Xの悲劇、Yの悲劇、Zの悲劇という著名なミステリーがある)

ようやく夏樹静子氏のWの悲劇を思い出したので、
きっとMの悲劇もあったかも・・・
とこれまたいい加減な一人合点をしていた。

きょうになって思い出して調べてみると、
確かに夏樹静子氏著作にMの悲劇があるが(わたしはまだ読んでいない)、
どうも今回のドラマとは関係ないようだ。

不思議なことに制作スタッフはいろいろ記されているが
原作者がどこにも書かれていない。
どうしてなんだろう?
夏樹静子氏のMの悲劇の存在をたまたま知らないで作った別の作者が、
ドラマ放映直前にそれを知り、いまさら改題もできないのでそのまま進行し、
原作者の名前を伏せたのか?などとつまらない想像をしてみる。

著作権に抵触することならそんな対応で免れるわけもないし、
大民放局が許すわけもないだろうから
わたしの想像はまったく違うと思うが、ちょっと不思議だ。

ところで、このことで、
小説などを書いて既存にある著作物とまったく同じ題名のタイトルを
つけたとしても大丈夫なことがわかったが、
果たしてほんとうにそうなんだろうか?

たとえば「民法総則その1」なんてのは許されそうだが、
わたしが「蛇にピアス」や「限りなく透明にちかいブルー」なんて本を
発表しても許されるのだろうか?(やらないけどね)



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